企業事例 -有限会社いやタクシー-

お客様の声

Q . 健康経営を社内で始めようと思ったきっかけについて教えて下さい。

森山社長:業種的に社員の働き方が非常に不規則だったことが一番大きな理由です。当時は今とは業務スタイルもかなり違っていて、社員の8割ほどが観光業務を担当していました。観光業という特性上、秋の行楽シーズンに繁忙期を迎え、その月の売上が急激に跳ね上がります。ただ、その後冬になると閑散期になってしまうため、「仕事があるうちに多少無理をしてでも稼働率を上げ、売上を伸ばそう」という意識が強かったんです。社員もそれで給料が増えるため、多少無理してでも働くという流れが加速していきました。

Q . 実際、その頃の社員さんの健康状態にはどんな影響がありましたか?

森山社長:売上や収入は確かに増えましたが、同時に社員の健康状態や人間関係にも変化が現れ始めました。健康診断ではメタボリックの傾向が強まったり、お腹周りが目立つようになったりと、目に見える形で影響が出てきました。観光業務では朝3時から日付が変わる直前まで長距離運転をすることも珍しくありません。長時間集中した後、その緊張感から解放されると深夜遅くに食べたり飲んだりする生活習慣になってしまう。その積み重ねで健康面への不安が高まっていました。

仕事はあるけれども、それだけでは満たされない何かを感じている様子でした。体調や体型について不安を抱える人も増えましたし、この業界では健康寿命が短い傾向があります。一線を退いて運転業務から離れるとすぐ脳梗塞など重篤な病気になる方もおられました。在職中にそういった事例を目の当たりにしたこともあり、「何とか社員の健康寿命を伸ばすための取り組みを始めたい」と考えるようになりました。

どうしても長時間拘束される業務環境なので運動不足にもなりやすく、それらが年間通して蓄積されていくイメージです。私自身も入社当初から脳梗塞や脳出血といった深刻な病気になる社員さんを目の当たりにしました。だからこそ、単純に給与額だけでなく、年間通じて働き方自体を調整することで社員さん自身の幸福度や生産性を高める方向へ舵を切ろうと思いました。

Q . 外部の専門家に健康経営支援を依頼した理由や期待するポイントはどんなところでしょうか?

森山社長:まず会社全体で健康への取り組みを行うことで、『自分の健康を優先していいんだ』という意識付けにつながればいいと思いました。それまでは『仕事優先』という概念しかなく、自分の身体は二の次という考え方でした。でも外部から専門的な知見やアドバイスを受ければ、『ちょっとやってみようかな』という気持ちになりやすいですよね。同僚や上司から言われるより第三者から言われた方が素直に受け入れられるケースもありますし。また、自発的に動こうとする社員さんが出てきた時、それをサポートできる環境づくりにも期待しました。社内だけだとゼロから新しい取り組みを始める難しさがありますから、その最初の一歩となる流れづくりこそ外部支援の価値だと思います。

Q . 実際サービスをご利用いただいて、どんな印象でしたか?

森山社長:率直に言って、とても良かったと思いますよ。社員さんたちも徐々にですが『健康』という社会的報酬への意識付けが進んできています。自発的な動きをサポートする仕組みがあることで、その動きをうまく収束させたり方向付けたりできる点は大きかったですね。また、この取り組みには組織マネジメントとしての要素も含まれていて、それが非常によかったと感じています。社内だけで自主グループや委員会など新しい取り組みを立ち上げることは難しいですが、『健康』という誰でも共感できるテーマから入り込むことで自然な流れで委員会活動へつながりました。この成功体験から事故防止や環境改善など他分野への広がりにも期待しています。

さらに言えば、自主的な活動グループ形成につながったこと自体、大きな財産だと思っています。この経験を通じて社員さん自身にも『自分たちでも会社を変えていける』という意識づけになりましたし、それこそ企業として大切な資源になるでしょう。

今後は健康診断結果など具体的データを基盤として年間計画化し、委員会主体でPDCAサイクルを回していくことが重要だと思っています。そのためにも協会けんぽの事業所カルテなど客観的データを基準に年間スケジュール化し、自走可能な仕組みに落としていきたいですね。

社内で立ち上がった『ボディメンテ委員会』の集合写真

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